h.merry + memo
趣味から日記まで色々と。現在、古泉とロロが好き。腐女子です。
『君と繋がっていたあの夕焼け』
※ハルヒ関係でも何でもありませんので注意。
別れなんて、来なければいい────。
僕達の背後には赤い空が広がっていた。
とても綺麗で、綺麗すぎて、鮮やか過ぎる色はきっと忘れられないだろう。
今も思う。
明日なんていらない。
今日だけをずっと繰り返せたらどれだけいいか。
君と一緒に、ずっと過ごせたらどれだけいいか。
君のいない季節なんて僕には意味がない。
生きていても、君が傍にいないのなら意味がない。
僕を、一人にしないで……。
それでも時は止まることなく、二人の時間は終わりを告げる。
『バイバイ』
僕を見ることなく君は呟く。
あまりに小さい声だったから、泣いているのかさえわからなかった。
いつもの帰り道。
だけど、もう君の思い出になる道。
春も。
夏も。
秋も。
冬も。
君と過ごした全ての時間が思い出になる。
僕も、思い出の一部に……。
ずっと一緒にいられると思ってた。
ずっとこの先の季節も、ずっと。
お互いを繋いだ小さな手。
離さないで。
離したくなんてない。
『もう、行かないと』
相変わらず小さい君の声。
少し擦れているのは泣いているから…?
燃えるような夕焼けは薄暗い夕闇に変わる。
時間が僕を追い詰める。
たった一言。
伝えたいことがある。
言いたい。
言えない。
その一言が、言えない。
繋ぎ止めておけるのなら、僕はなんだってするのに。
無情にも時間は過ぎていく。
この僕の想いを取り残して────。
『さよなら…っ』
君は繋いだ手を離して走り去っていく。
一瞬だけ見えた君の横顔には、一筋の涙が伝っていた。
これが僕の幼い頃の記憶。
変わらないと思っていたものが、変わった瞬間だった。
君のいない季節は今も巡り続けてる。
でも、あの頃の帰り道を歩きながら思う。
君がいたときの輝きを。
空も、大地も。
空気も。
見えるもの、見えないもの。
僕を取り囲む全てが美しいと思えた。
赤い空。
あの日と同じ。
一面に広がる夕焼け。
繋いだ手の温かさ。
僕はずっと忘れることはないだろう。
淡い恋心と共に残った、君の温度を抱いて。
君は今、何処にいるだろう…。
またいつか会えるだろうか?
その時、君はどんな色を宿した瞳で見つめるだろうか?
でも、次に会った時こそ言おう。
幼いあの日に言いたかったこと。
今さらだとは分かっていても。
たとえ君に届かなくても。
もう一度、あの日のように手を繋げる日を……。
もう一度──────。
一緒にいるのは辛いけど、一緒にいられない方が寂しいよ。
でも、ありがとう。もう二度とあんなことのないように、思い出にするから。
今は泣いていても、いつか笑いあえるよね?
ありがとう。